この一学期も子ども達に大きな成長を観て、そして感じ取ることが出来ました。ことに新入園児の保護者の皆様にとっては、こんなことも出来るようになったのか、と驚きの連続だったのかもしれません。在園児の中におとなしい年中の女児がいます。毎朝登園して私の前に来ると、彼女は固まって挨拶が出来ませんでした。それでも四月、五月と過ごす中で「蚊の鳴くような」声ではありますが、「園長先生、おはようございます」と言えるようになりました。きっと彼女の心の中では挨拶をしなければ・・・でも、ちょっと恥ずかしいな、という葛藤(かっとう)があったと思います。しかし、それを彼女自身の力で乗り越えたのです。小さな出来事のようですが、子ども達は日常の中で経験する小さな体験や、出来事を積み重ねて成長していきます。何もビッグイベント(例えば、全国大会出場!など)を経験しなりも、家庭生活や親子で過ごす時間の中で、ふと交わした会話や、何気ない仕草を心に留めて「そういえば、こんなことが」と記して頂き、お願いしたいのはその時に親としてどう感じたのか(可愛らしかった、かっこ良かった、じ~んときた、誇らしかった、等々)を併せて書いて頂きたいのです。(親バカでも大いに結構ですよ!)ければ成長出来ないなどということは、決してありません。本園では教育にせよ、躾にせよ毎日の積み重ねの上にしかないと考えています。それと同時に、その日常の何気無い行動や言葉の中に、成長の萌芽を見つけようとしています。

それを書き記したものが「あかつきノート」です。私は毎回皆様からの「家庭から」の欄を楽しく拝読していますが、皆様方の中には、ありきたりの毎日で何も書くことが無いとか、家族旅行に行ったなどスペシャルなイベントも無いしなあと、なかなか筆が進まず困ってしまう、という方もあるかもしれません。でも先に申しましたように、目を見張るような成長や、出来事は滅多にあるものではありません。それよいつも申しますように、このノートの未来の読者は、あなたのお子様なのです。園児さんが小学生か、中学生になった時にこのノートを手にする時が必ず来ます。自分の幼い頃の様子が記載された内容は、少々恥ずかしいものもあるでしょうが、懐かしい記憶、失っていた記憶すらも蘇ってくることでしょう。


今年の夏も中学一年生になった卒園児の同窓会を催します。その際に自分の「あかつきノート」を持参するようお願いします。中学生がどんな表情でノートを読み返し、どんな感想を口にするのか、今から楽しみです。
その時、彼ら彼女らは「家庭から」の欄に記された親の文字、文章も目にします。自分の親はこんなに愛してくれていたんだ、心配してくれていたんだ、そして期待してくれていたんだと読み取ってくれることでしょう。直接自分に語る言葉であれば、重たかったり、うっとうしかったりするかもしれませんが、担任の先生宛ての文章ですから、ワンクッション入ることにより、素直に受け止められると思います。