ある講師の言葉です。高校生の保護者向け講演会に招かれると、一番多く出る質問が、「どうしたら、東大に合格出来ますか?」だそうです。皆さんも、聞いてみたいと思いませんか。
その答えは、お子さんにテストの答案を書き終えたら、次の呪文を口にしなさいと伝えると良いそうです。「この答案は、絶対に間違っている!」
そういう目で自分の答案用紙を見直すと、必ず間違いが見つかり、点数が上がるという訳です。受験とは、ミスの差で大きく結果が違ってきます。実際、入試の合格・不合格のボーダーラインは、ほんの1~2点の違いとはよく耳にする話です。
自分は間違っている、と口に出して言うことで、自分の答案用紙を第三者的、客観的に見られるようになることで、それまで気付かなかった間違いを、発見することが出来るようになるのでしょう。
私などもう受験こそしませんが、小論文や、このような原稿を書くことがよくあります。書き終えて、「まあ、ようでけとる」と自己満足に陥ることが、ままあるのですが、そんな気分で読み返すと、誤字脱字に気付かないものです。

また親心として、子どもの言葉を鵜呑みにすることは、ある意味当然ですが、危険性もはらんでいます。以前、実際にあった話ですが、年少児が帰宅して「僕は何もしていないのに、○○ちゃんから叩かれた」と報告しまし、それを聞いた親御さんは激怒しました。「うちの可愛い子が、何もしてないのに叩かれるなんて!」。ところが実態は、後ろにいた子が呼びかける際に「ねえ、ねえ」と肩をポンポンと軽く叩いただけだったのです。
我が子の言葉を「絶対に間違っている」とまではいかなくても、「それは本当のことなのかな?」、「実態はどうなのかな?」くらいの意識で聞くことは、幼児の保護者にとって必要な態度でしょう。

一方では、子どもを信じきることが必要な場面もあります。
黒柳徹子さんは子どもの頃、相当に変わった子どもだったそうです。授業中は先生の言葉も聞かずに、窓の外を眺め続ける。他の子どもは絶対にしないようなことを、次々とやらかしてしまう、今でいう「問題児」だったのでしょう。
ところがその学校の校長先生は、叱責せずにいつも同じ言葉を、黒柳さんにかけていたそうです。「君は、本当はいい子なんだよ」

自己肯定感、という言葉があります。自分は価値ある人間なのだ、自分は愛されている存在なんだ、自分はここに居てもいいのだ、とする自分の存在を自分で認める感情です。
悲しいことですが、育児放棄(ネグレクト)や家庭内暴力(DV)、学校でのいじめに遭う子は、この自己肯定感を持ちにくいとされていますが、当たり前のことです。
愛されている実感・・・子ども達が、両親から、幼稚園の先生から愛されていることを実感しつつ、日々を過ごせますよう願います。