もしご自分のお子さんが、他人から叱られたら、どのように感じますか?
A「感謝する」   B「仕方がない」
C「恥ずかしい」  D「腹がたつ」
Aは模範解答ですが、ちょっと無理しているかもしれません。Dは、どうかと思いますが、親心(親バカ)としては、分からなくもありません。一番多いのは、Cかもしれませんね。皆様はいかがでしたか?
 私が懇談会等で保護者の皆様からよく伺う話が、「躾をどうしていいか分からない」、「褒めて育てよ、と言われているが、つい小言が多くなる」、「叱り過ぎて、後から言い過ぎたなと後悔する」というような内容です。また続いて、「幼稚園の先生方は、言うことを聞かない園児がいても、いつも穏やかに優しく接して下さいますね」という感想です。
 幼稚園の先生が何故、そのような対応が出来るのか、そのタネ明かしは簡単です。我が子ではないからです。ミもフタも無い言い方を許して頂ければ、先生にとって園児は「アカの他人の子」です。だから冷静に、理性的に対応することが出来るのです。
 とすれば、皆さんがお悩みになる原因も明確ですね。血を分けた「我が子」だからです。
 日本語では「叱る」と「怒る」と似た内容で、違う言葉があります。国語辞典ではどう書いてあるか知りませんが、本園では先生方に「叱るとは、厳しく注意すること」、「怒るとは、感情的になること」として、前者は大いに奨励し、後者は厳禁としています。
 幼児は躾をしなければ、「人間」になりません。ですから、躾が身についていない時、躾に反するような言動をした時に、親が叱るというのは、親としての愛情の発露(具体的なかたち、行動)なのです。反対に、我が子がそのような姿を見せた時に、親が見過ごすとしたら、親の愛情不足とされても仕方がないと思います。
 ここまでご理解頂けるとしたら、次は「叱り方」です。残念ながら、叱り方マニュアルみたいなものは存在しませんので、私の考えるポイントだけご紹介します。
①その時、その場で
 すぐに言わないと、子どもは「あの時、あなたはねえ」と言われても、分かりません。
②冷静になる
 カッとなってはいけません。昔から冷静になるには「コップ一杯の水を飲む」のが、有効とされています。感情を押さえましょう。
③ネチネチ言わない
 職場の上司としてのビジネスマナーに「三分以上の叱責は、イビリに変わる」とありました。「だいたいオマエはなあ・・・」となったら、相手の性格や人間性を責め始めています。
 ですから、その子の行為を叱っても、その子の人格を責めたり、存在そのものを否定したりしてはいけません。
そして一番最後に「でもママ(パパ)は、あなたのことが大好きなのよ」という、ひと言を忘れずに添えて下さいね。